K子の旅ログ

田舎OL・K子のぬるめなブラブラ海外旅行記たまに国内旅行記。小さい写真はクリックすると大きくなるよ!たまにフィクションを含みます(逃げ口上)。2017年8月現在移行作業中(いつ終わるんだ……)。なのでたまにリンクとか変なとこあるかもしれません。

統一会堂で考えた

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ご存知、元は南ベトナムの大統領府で今はベトナム独立のシンボルである公共施設です。

暑い中歩いてきたと言うのに門から入口までの遮るもののない道がとどめをさしにこようとします。どういう条件を満たしたらこの中まで車で乗りつけることが出来るのでしょうか。ちなみにチケットは門の近くのお土産などを売っているところで買います。まあもともと歩いてきたわたしにはどこまで車で行けようと行けまいと関係ないですが。
この建物の中は基本的に冷房がきいていないので、完全に歩いてきたのは間違いでした。
着いた時点でもうかなりお疲れなんですけど。ぐだぐだで見学開始。

中は昔の様子を再現して展示しているようなところと、今も現役でイベントなどに使っているところとに大きく分かれる模様。それぞれ入口に簡単な案内があって、入れるところもあれば外から眺めるだけのところもあり。

このあたりはなんか現役で使ってそうな感じ。

結構緑が見えるスポットが多いです。吹き抜けに中庭とかもあったし。
中庭の奥は奥様とか家族のプライベートな部屋だったような……ちょっと記憶が曖昧。
たぶん遊戯室とかクラブとか応接室とかそんなん。
一見地味だけど家具とかはなんか高級そうな感じがします。落ち着いた雰囲気ですね。

これは会議室なんだけど、ベトナム戦争の作戦会議的な雰囲気ですかね。大統領の執務室の近くとかだったんじゃないかな。忘れちゃったけど。

パキッと無機質な正面の外見ですが、内側から見るとなかなかきれいな模様だなと思ったり。

こういう規則正しくならんだ幾何学模様に弱い。つい写真を撮ってしまう。
上階のテラスからは並木道と先の広場の様子まで見渡す事ができなかなかよい気持ちです。
ここをねえ、戦車がずんずんとやってきたわけですか……。

今はのどかに芝生が青々としています。かと思えば屋上にはこんな展示もありました。

屋上にはペントハウス的にダンスホールがあって、かつてバーカウンターであったであろう場所で冷たい飲み物などを売っていました。冷房がきいていないのでそれはまあよく売れていました。
わたしはなんか悔しかったので、ホテルから持ってきた温い水を飲んで休憩しました。

応接室とか遊戯室とか大統領の私室スペースとか、まあ、質素でもやたらぜいたくでもなく、裏を返せばそれだけなら別にわざわざ見に来るほどでもないかなと言う感じですが、地下壕スペースは流石になかなか……末期にはお偉方までこんなとこにこもって戦争してたんかと思うと、ちょっとリアリティを感じました。大統領の寝室まで漏れなく囚人部屋みたいな雰囲気でしたから。


全体的に天井が低く、空気はこもっていて閉塞感半端ないです。ちょっと涼しくて良かったけど。
そして最後はさっき見た屋上から我先にと脱出していったわけですね。写真がありました。
写真と言えばやっぱこの写真もありました。

この写真は流石にわたしも見たことがあります。
そして、雑多にいろいろなパネルや資料が展示してある部屋もありました。

これは南ベトナム共和国の国旗ですかね。善悪の観点は別として、かつて存在し、そして今は存在しない国のシンボルと言うのはなんだか重いですね。立場はいろいろあるでしょうがそこに依って生きていた人と言うのもいるわけでしょうし。一般庶民にとっては案外関係ないことなのかもしれませんが。まあホーチミン殆ど無血陥落だったみたいだし。
さくさく見たら1時間くらいでしょうか。わたしもこれで見学を終えようかと思ったのですが、順路の出口近くに映像資料室が幾つかあって、【日本語】と書かれた部屋を発見。
気紛れに入ってみたら冷房が入っていて涼しかったのでちょっとぼんやりしてみたり。
中は無人で教室の半分くらいの大きさの部屋に40インチくらいのテレビとDVDプレーヤーと長椅子があり、テレビには何も映っていなかったのですが、後から来た別の日本人の人が先に来たのにボサッとしているだけのわたしとは違いさっと係の人を呼びに行き、日本語字幕つきDVD上映が始まったので涼みがてら見ていく事にしました。
内容はベトナム戦争ダイジェストなドキュメンタリーだったのですが、これがなかなか面白かったです。内容がと言うより、それを見るわたし(日本人)の立場としての受け止め方と言うか。

ものすごくざっくりまとめると「ベトナム戦争で活躍した将軍にきくベトナム戦争、わたしたちは大きな犠牲を払いながらも過酷な戦いを勝ち抜き今の国を勝ち取りました、やったねすごいね、これからもがんばろうね!」みたいな感じの内容で。たぶんこれ基本的に「かなりベトナム人向けに作られたもの」にそのまま字幕つけただけなんですよね。
作った人や流してる人がそこ意識してるかどうか知んないけど。
そのへんもちょっと興味深いですが、そこまで話し広げると収拾つかないので、内容の話にとどめますが、これがまあ「敗けた戦争しか知らない」「侵略戦争の首謀国家とみなされた」日本人のわたしには結構、衝撃と言うか新鮮だったわけですよ。
ちょっと誤解のある言い方かも知んないけど、「戦争がポジティヴに語られる」場面をメディアで見る事なんてそうそうないじゃないですか。しかも「戦争に勝ったベトナム人が同じベトナム人の戦争をあんま知らない若い世代向けに作ったっぽい作品」なんですよね。
今のベトナムの立場からすれば「アメリカの傀儡政権を退けた戦争」=「正当な戦争」なのでそうなって当たり前なんですけど。理屈でそれは分かるんですけど、それでも実際見るとなんかこうすごい、ああそういう世界もあるんだねと思いました。
またこれが南ベトナム(アメリカ)批判とかのネガティヴな要素もなくて、わたしたちのベトナムはこうして統一されました、多くの先人の犠牲とがんばりによるものです、これからのわたしたちもがんばりましょうと言うような……。
良いとか悪いとかじゃないんですよ、ただただすごく新鮮な視点でした。
一方で、逆に「正当な戦争(しかも勝ってる)」がスタンダードなひとたちには「戦争反対!」とか言うのは分かりにくいかも知んないとも思いました。それは「正当な理由」があれば「戦争は仕方ない」ってことだものね。でも「正当な理由」なんて立場や時代が違えば変わってくるもので、結局その「正当な理由」どうしがぶつかっているのが戦争なんだと思うんですよね。
だから、侵略しといてエラそうに〜とか言われても「ネガティヴな戦争」しか知らないからこそ「戦争反対」とか言えるんじゃないかなあとも思ったりしました。
無責任な立場ではあるのだけれど、物事いったん「善悪」とか「どっちの味方をするか」と言う視点や判断を離れるといろいろ面白いです。fanのほうじゃなくてinterestingなほうですよ。

……思ったほど凄惨な感じの展示はなくて、興味深くいろいろ見ることが出来ました。
なお、外には「写真のあの戦車」もありました。とりあえず撮っとく。

お土産売り場でちょっとカワイイテイストのマグネットとわたしの集めているピンバッチを発見して購入しました。
みっつで100,000ドンでしたが、ピンバッチがやけに高い気がします。

しかし嫌になるくらいいい天気ですが、歩いてまだ観光しますよう〜。